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40年も前のはなし ①

039.jpg
 

1月度定例営業会議、ようやく終わったのが深夜の0時前。
疲労困憊の極み・・
もう眼を開けていられない。
大通りから丸井デパートの角を曲がって2丁先で停車したら、
眠りこんでしまった。
  
まぶしい朝日に目覚めると、助手席に娘が座っているので驚いた。
大きな眼をクリクリして・・

「夕べは雪まつりボランティアの顔合わせ飲み会なんだ。
そこのスナックで仲間とはぐれたの。
急に酔いがまわって、歩けなくなったら・・・・・
眼の前の車に、人畜無害そうな君が眠っていたので、
助手席に便乗したっちゃつんだ。
ゴメンナサイ 

目覚ましのモーニングコーヒーから妙に馬が合った。
娘は横浜出身の北大生、
市内のアパートに独り住まい。
男は仕事を、娘は学業を手抜きして2人の時間に振り向け、
逢瀬を愉しんだ。
遊び疲れ、話疲れると娘のベッドにもぐり込み、
双子の兄妹のように抱き合って眠る。
娘の体臭が心地よい眠りに誘う。

積丹半島でのドライブ、
余市の浜から冬の日本海を眺めた。
浜風にポニーテールをなびかせて、
雪子は言った。
「ウニ丼・・・大盛りで食べようね・・」


玉手箱 ニッカの海に みえかくれ 



 目覚めると、万年布団の縁が霜で真っ白。
ブルブル 震えながら最新式石油ストーブを全開にして、
咽の渇きを癒そうと水道蛇口を捻ったが、凍結して一滴もこぼれず。
やむおえず 顔も洗わず出勤。

〔大阪万博ご招待セール〕の打ち合わせを終え、
帰宅して玄関を開けた瞬間、
妙な胸騒ぎ
閉めきった6畳間はサウナ顔負けの物凄い熱気。

「まずい・・ストーブの消し忘れだ

火災にならなかった僥倖に安堵して、吹き出る汗を拭っていると、
札幌の雪子からの電話。

「さっき、兄から電話があって、
私の退学と君とのことが父にばれてしまったみたい。
怒った父が私を連れ戻しに明日にでも来そうなの。
あんな、息のつまる横浜の実家はいやなんだ。
その前に逃げようと思うの。
一緒に逃げてくれる?・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

ドン ジャー ジャー

突然、度重なる凍結で脆くひび割れた水道管が破裂して、
勢いよく水が噴き出した。

「モシモシ・・・どうかしたの?」

二つの重大問題が同時に発生、脳細胞は容量オーバー。
受話器を握って茫然と立ちすくむだけ。

翌日、有給休暇をとって札幌に駆けつけたが、
雪子は消えて、そのまま会えず終い。
帰りの夜行列車・・
涙で流しこんだニッカはやけに辛い。


酔いほろり 棘まで愛し バフンウニ



「あの時のウニ丼・・・おいしかったね。
 積丹のバフンウニ・・・」

ミレニアムだ・・と妙に浮かれた年のこと。
どこで、どう調べたのか、雪子から便りがあった。
ご主人の函館転勤で市内に移り住んだとのこと。
東京出張の帰り函館空港に降り立ち、30年ぶりの再会を果たした。 
 
横浜に連れ戻され、兄嫁の監視をあびる窮屈な日々。
逃げだそうと、帯広に何度か電話したが通じない。
そのうちに気力が萎え、流されるまま薦められた見合い結婚に至った。
そう語る雪子も50の齢、
いかにも良家の奥様然としてあの時の面影はない。
2人の子を授かり、今は幸せだと言う。

「おれも2人の子持ち。娘の名前は雪子だ」

ほんの一瞬、雪子の時間が止まった。

「・・そう、会いたいな、あなたの雪子に・・」

雪子と別れ、ホテルに戻ったが眠られそうにもない。
港が見えるバーで、ニッカをダブルで、グラスを二つ並べた。
あの時の俺と雪子の分だ。
一気に流しこんだ。

「ここはアイヌモシリ、
すべてはカムイのなせる業」

酒精におだてられ精いっぱい強がってみた。


トクトク ニッカトクトク トックン


























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