♪・・ピンポーン 「宅急便です」
荷札の発送人欄は・・「白」と一文字だけ、
小さな段ボールの中味は・・白川村八幡神社お神酒・どぶろく
ふるさと飛騨白川村のご先祖・白蛇さまからのふるさと便りだった。
「ヒロよ、今年の出来栄えはどうじゃえ??」
ありがた~い白蛇さまのおココロ、ふるさと白川村は豊穣・・お裾わけ
もう11月も半ば・・桂恋村の朝晩は冷え込み、ストーブの前でブルブル
我が家の小さな庭もすっかり晩秋・・月末には雪で白く覆われるだろう。
枯れた庭を眺めていると、ふと、ふるさとの山々の景色を想い出した。
白濁のどぶろくをペロペロ、すっぱい味の彼方に重吉じぃちゃんの顔が
ご先祖・白蛇さまのふるさと便りをありがたゴックン・・酔いが廻ってきた
重吉じぃちゃんの想い出アレコレ、しばしお付き合いのほどを願いたい。
♪♪・・ピンポン・ピンポン・ピンポ~ン・・♪
「白川村役場よりお知らせします。
自家用酒を造ることは、密造酒として法律に触れる惧れがあります。
どぶろくを造って、飲むことは法律違反ですから止めましょう!!」
今から50年以上も前、ある日の朝のこと・・
居間の片隅の有線放送から、そんなような内容の放送があった。
突如、我が家は大忙し・・重吉じいちゃん、父親そして私、
「エッコラドッコイショ」
ニ階の急な階段からソロソロ、大きな甕を降ろす
汗をたっぷりかいて、5本の甕を裏の竹藪まで運んだ。
プ~ン・・アルコールの香り
それも一瞬だけ、どぶろくは竹藪の中に隠された
重吉じぃちゃんの晩酌は・・3合のどぶろくゴックン
米つくり・麹つくり・・たまばぁちゃんとの共同作業の成果は約200㍑、
ドラム缶1本に相当する量を造って、1年で飲み尽くしていたのだ。
前述の有線放送は、高山税務署員による抜き打ち巡回の予告通知、
密造酒摘発のための税務署業務は1年に1度の恒例になっていた。
が・・白川村役場に抜き打ちの事前通知をしたのに、
何も成果がないとなれば、税務署の面子に係る一大事?
当時はどの家でもどぶろく造りが当たり前の時代、
そこで・・
摘発される酒税法違反者が1名、持ち回りで指名されていた。
つまり事前にイケニエが村役場公認として決まっていたのだ
さて、その晩のこと・・
税務署員が一泊する旅館での夕餉の膳には、
村で精一杯の山菜料理とイワナの塩焼き、
そして、村1番のべっぴんさんのお酌でググイは、
これまた村1番のどぶろく名人がつくった最上のどぶろく
そこには・・お上と下々の好ましい関係があった!?
* (以上は又聞き、真偽のほどは定かでない)
♪♪・・・器量がサーハーヨー
良いとて けんたい振りゃ おきゃれ
深山奥山その奥山の 岩に咲いたる 千里のつつじ
なんぼ器量よく咲いたとも
人が手ささにゃ その木そのままじゃ
サーハーィヨー・・♪♪
重吉じぃちゃんは清酒を一切飲まなかった。
囲炉裏の横座にどんと構え・・3合のどぶろくでご機嫌ニコニコ、
囲炉裏を囲んでいる私・妹・弟・妹・妹・・
5人の孫に唄って聴かせた白川民謡・古代神の一節、
重吉じいちゃんは古代人??
白蛇さま・・ふるさとの便り、ありがとうございました。
旨いどぶろくで・・すっかり酔ってしまいました